2025/11/09 13:36


普段からの腸活は大事ですよね。実は腸だけでなく、腸内細菌が作る物質が“脳”にも影響を与える――いわゆる腸脳相関(gut-brain axis)が注目を集めています。そして、その腸内細菌の働きを支える“ある栄養素”が、実はビタミンB1(チアミン)なのです。今回は薬剤師として、そのエビデンスを紐解きながら、腸活に役立つサプリメントとしてBijinサプリをご紹介します。


1. 腸脳相関とは?


腸と脳(正確には中枢神経系)は、神経系・免疫系・代謝系・内分泌系を通じて双方向にコミュニケーションを行っており、これを「腸脳相関(gut-brain axis)」と呼びます。  

腸内細菌が作る短鎖脂肪酸(SCFA:acetate, propionate, butyrate など)が、腸管バリアを整えたり、炎症反応を抑えたり、さらに神経伝達物質や神経細胞の働きに影響を与えたりという報告があります。  

つまり、腸内環境を整えることは、単に「お腹がすっきりする」だけでなく、「心や脳の調子」にもつながる可能性があるのです。


2. 酪酸菌(butyrate-producing bacteria)とビタミンB1の関係


腸内で特に注目される物質に「酪酸(butyrate)」があります。酪酸は腸の上皮細胞のエネルギー源となり、炎症を抑制、腸壁を守り、また神経・脳にもポジティブな影響を与えるという研究があります。  

その酪酸を産生する代表的な菌群として、Ruminococcaceae 科や Faecalibacterium 属などがあります。興味深いことに、ある研究では「ビタミンB1の摂取量」がこの菌群の構成および酪酸産生量に影響を与えていることが示されています。  

具体的には、2022年の研究では「ビタミンB1摂取量が十分であると、Ruminococcaceae の相対的な存在量が高く、同時に酪酸産生(および酢酸も)が増える」という結果が出ています。  

このメカニズムとして、これらの菌が 自分ではビタミンB1を合成できない(de novo synthetic pathwayを持たない)ため、外部(つまり宿主の食事など)からのビタミンB1に依存しているという解析も報告されています。  

つまり、ビタミンB1をしっかり摂っておくことは、腸内で酪酸を出してくれる“良い菌”をサポートする=腸脳相関的にも有利な状況を作る可能性がある、ということです。


次回は、なぜ腸脳相関にビタミンB1が必要なのかを整理していきます。